パパが帰り、病室にはわたしとカナだけになった。



「ハル、こっちで寝る?」



カナがベッドの上に座って、わたしの頭を優しくなでながら聞いてきた。



こっち……って、ベッド?



寝ないよ。

そこはカナの場所だもん。



小さく首を振り、カナの目を見た。

目が合うと、カナがにっこり笑ってくれた。



つないだ手のひらから感じる、カナのぬくもり。

曇りのないカナの笑顔。



……よかった。

……本当によかった。



わたしはイスに座ったまま、上半身をベッドに伏せた。



「ハル?」



……うん。カナ。

あのね、大好きだよ。



頭に、背中に、カナのぬくもりを感じながら、ウトウト。



気がついたら、現実と夢の狭間を、わたしはゆったりと漂っていた。