「なんでだよ!」
今度はカナ、かがんで、ガシッとわたしの肩をつかみ、視線を合わせた。
カナが、地元の有力者で、わたしたちの通う杜蔵学園(もりくらがくえん)へも莫大な寄付金を出しているお父さまに、わたしと同じクラスにしてもらえるように頼んでいたと知ったのは、去年の春。
年中さんから高校1年まで、一度も変わらず12年間も同じクラスの腐れ縁。
わたしは、それをずっと、偶然だと信じていた。
もしかしたら、先生たちが、あえて世話焼きのカナを、わたしと同じクラスにしたのかもしれないと思いつつも、カナの言葉を信じて、腐れ縁だと思っていた。
でも、その腐れ縁は、偶然なんかではなく、カナによって作られたものだった。
「……だって、やっちゃダメだし、……そんなずるっこ」
わたしが小さな声でささやくように言うと、カナは苦虫をかみ潰したような顔になった。
そして、また、ため息。
「そうだよな! 知ってたさ、ハルが生真面目な性格だってことは」
カナは怒ったように言う。
続けて、つぶやくように、だからずっと黙ってたのに……とも。



