―― ゴホンッ! 小さな咳払いをひとつした潤君が、透き通るようなサラサラな前髪をクシャリと握りしめながら、心なしか恥ずかしそうにつぶやく。 「猫が…」 「うんうん。猫が……?……!?」 ……ね、猫~っ!? 乙女の妄想とは180度も違う返答に、一気に現実の世界へと引き戻される。 「ね、猫って、昨日いた猫ちゃんのこと!?」 「あ、あぁ、そうだけど……?」 そんなに驚いてどうしたのだろう?と言いたげな表情で首をかしげる潤君。 いぶかしみながらも淡々と話を続ける。