「……猫が……逃げちまった……」



不機嫌そうな顔で再びつぶやく。


我に返り水沢君の足もとを見てみると、先程までじゃれていたはずの猫の姿が消えていた。



―― ひっ…… ひぃ~っ……!


「ご、ごめんなさいっ!」



自分が猫を驚かせたせいで逃げてしまったのだと、ようやく状況を把握した私はとにかく平謝り。



「あ、あのっ、私のせいで猫ちゃん逃げちゃって……!本当にごめんなさいっ……!」

「……べつに……もういいし……」

「えっ? で、でも、やっぱり私のせいだし……―― 」