† of Thousand~千の定義

キマイラを、この町から消せばいい。

倒すまでいかなくとも、どこかへ飛ばしてしまえれば、それでいい。

そのための原動力には、計算では、ヤツの質量に匹敵する生命体、もしくはそれ相応に値する精神力を必要となるのだが……私の能力では、無理だ。

だから、身を捧げるしかない。

血迷っていたのだ、私はとうに。

キマイラとの戦いを前に、初めから私は、己の敗北を前提とした、勝者のいない戦いを目的としていた。

だから、長沢とも、別れた。

私は消えるのだ。『不思議な自然現象』を引き起こす魔術の電気回路、その電力となって。

それは、『草薙仁』という定義であり、『私』という定義――感情に則った、作戦。

「これで終わりだ。お前も私も」

そして魔法陣の公式が、現象をこの場へ顕現させるものから、分解と転送、他方へ影響するベクトルに、切り替わる。

雨の町が、一気に赤で染まり上がる。まるで、血塗られたように。

ゴゥン、とどデカい鐘が頭の中で響いた気がする。