どこにいるかわからないキマイラへ、多少声を張る。
「私は昔、ひとりの男と離れ離れになった。その男は私に、いろんなものを教えてくれた。魔術や、世界。行きることの楽しさだ。七丁目、駐車場の隅」
「ほう」
「その男が、私の過ちに対して言ったんだよ。出来事は刻印される。すなわち、『罪』だってね」
おそらく、撹乱に撹乱を重ねた後、今度こそその角で私の腹をえぐるつもりだろう。
炎で焼き散らせばいいものを……その残虐性は、さすがに魔族か。
しかし、
「だから私は、その『罪』の定義を払拭するために、『草薙仁』として行動しなくちゃならない。それが、お前の前に立ちはだかる理由かな。九丁目、歩道橋の上――さて、キマイラ」
私は、死んでやるつもりはない。
たとえどれほど、力の差が歴然であろうと。
ばしゃん、と響く水音に振り返らず、ヤツ同様、声だけを届かせる。
「私は昔、ひとりの男と離れ離れになった。その男は私に、いろんなものを教えてくれた。魔術や、世界。行きることの楽しさだ。七丁目、駐車場の隅」
「ほう」
「その男が、私の過ちに対して言ったんだよ。出来事は刻印される。すなわち、『罪』だってね」
おそらく、撹乱に撹乱を重ねた後、今度こそその角で私の腹をえぐるつもりだろう。
炎で焼き散らせばいいものを……その残虐性は、さすがに魔族か。
しかし、
「だから私は、その『罪』の定義を払拭するために、『草薙仁』として行動しなくちゃならない。それが、お前の前に立ちはだかる理由かな。九丁目、歩道橋の上――さて、キマイラ」
私は、死んでやるつもりはない。
たとえどれほど、力の差が歴然であろうと。
ばしゃん、と響く水音に振り返らず、ヤツ同様、声だけを届かせる。

