ばしゃん、
とまた水音がしたが、振り返らない。音が遠いし、すぐにまた、違う方向から水音が聞こえた。
跳ね回り、駆け回り、私に位置を特定させないつもりなのだろう。
濃霧にして豪雨……炎に水で対抗したのは些か安直すぎたかと、自分の愚作を今さら笑う。
笑うついでに、
「さあ、なんでかな。自分でもよくわからないね。一丁目、交差点の信号機。……定義に基づいているのはたしかだけどな」
「定義か」
「そう、定義。私の信条。三丁目、花屋の屋根」
答えながら、小声で余計な言葉を呟く。
ばしゃんばしゃん、と背後、それから前方でほぼ同時に水音。
私の上を跳んだのか。しかし、姿は見えない。
濃霧とはいえ、キマイラは灼熱のたてがみを持っているのだ。
その光さえ届かない外周を走っているのだから……ヤツのスピードは侮るわけにはいかない。
基本は獅子の姿をしていても、それに囚われない力を持っている。
強化したとはいえ……人間の器である私が、追い付けるかどうか……。
とまた水音がしたが、振り返らない。音が遠いし、すぐにまた、違う方向から水音が聞こえた。
跳ね回り、駆け回り、私に位置を特定させないつもりなのだろう。
濃霧にして豪雨……炎に水で対抗したのは些か安直すぎたかと、自分の愚作を今さら笑う。
笑うついでに、
「さあ、なんでかな。自分でもよくわからないね。一丁目、交差点の信号機。……定義に基づいているのはたしかだけどな」
「定義か」
「そう、定義。私の信条。三丁目、花屋の屋根」
答えながら、小声で余計な言葉を呟く。
ばしゃんばしゃん、と背後、それから前方でほぼ同時に水音。
私の上を跳んだのか。しかし、姿は見えない。
濃霧とはいえ、キマイラは灼熱のたてがみを持っているのだ。
その光さえ届かない外周を走っているのだから……ヤツのスピードは侮るわけにはいかない。
基本は獅子の姿をしていても、それに囚われない力を持っている。
強化したとはいえ……人間の器である私が、追い付けるかどうか……。

