† of Thousand~千の定義

私は、長沢を抱き締めるというよりもむしろ、羽交い締めにした。

言霊に、定義を乗せる。

「我、草薙仁、ここに領域を定義する」

「お前、なにを……!?」

「我、催眠者なり。長沢武男を『侵入者』と定義し、これを眠りに落とす」

「仁……!」

叫んだ彼に、私も最後だ、情けをかけた。

「さようなら、長沢武男。――ちゃんと、好きだった。それは、本当だ」

口づけを、私から、彼へ。

そしてその贈り物が――彼を、眠りへと落とした。

紅の視界の中。

私はほんの十秒ほど、意識のなくなった彼と抱擁を交わし――

部屋を出た。

己の存在定義に基づき、キマイラを、処分するために。



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