† of Thousand~千の定義

もっとも、

「それも無理だな」

自失したケダモノなど、もはや血統の誇りも、役に立たない。

その口に蓄えた炎をどうするかも、頭脳が理解していない。

喉に剣を突き立てたままの、ケダモノ……

剣は、呪符を核にしているだけで、基本構成は炎だ。

私はその剣が、

   ウリエル
「―― 炎 」

爆発するのを、イメージした。

瞬間、背筋を反るのもつらい虚脱感に襲われた代償に、キマイラの内部で烈火が花開いた。

魔獣の首が、爆音と共に胴から吹き飛ばされる。

魔術の残骸として、ひらりと、黒焦げになった呪符が、水面に落ち着く。

私の頭上で、遠くの路面で、重々しいなにかが落下した音が、ばしゃしゃんと連なって、聞こえた。

キマイラ、死す、か。

「――……終わっ、たぁ……」

いっそ胸中に宿った力ごと吐き出してしまいたくなるような、大きななにかを乗り越えたゆえの寂寥感から、改めて、雨の冷たさを知った。