杉村は事情を説明した。
すすきののガールズバーに、おにぎりの配達に出たうららが帰らない。
家を出たのは9時半頃。
電話が繋がらないと、梢が杉村の交番に駆け込んだのは、10時半。
杉村は梢を家に帰した後、うららの配達先ガールズバーに行ってみた。
そこの店長は杉村にこう説明した。
おにぎり屋が店に来たのは10時少し前。
配達後すぐに帰り、その後は知らないと。
杉村は梢に、行方不明者捜索願いを出させた。
そして今、所轄の警察15人体制で捜索中だった。
小泉のこめかみから、汗が一筋流れ落ちた。
目の前の二瓶ビルを見ながら言った。
「配達先のガールズバーとは… まさか…
このビルの“club JJ”とは言いませんよね…?」
今度は杉村が驚いた顔をする。
その顔を見て正解だと、小泉は察した。
深い溜息が口から漏れた。
――― なぜあの娘は、こうも事件に関係してくるのか…
おにぎり屋は、一体何なんだ…――
小泉の頭にあるのは、ボケッとしてどこか抜けているうららの顔。
無害そうなその顔を初めて怪しんだ時、
ガラスの割れる音が、二瓶ビルから聞こえた気がした。
それはとても小さな音で、杉村は反応しない。
聞こえなかったようだ。


