体操を終えた五十嵐は、窓に寄り掛かる。
何をしたいのか分からないが、窓に背をもたれ、その影は動かない。
10分後も15分後も同姿勢でじっとしていた。
何かを考え込んでいるのか、それとも立ったまま眠ってしまったのか…
おかしな奴だと呆れると同時に、横山に強烈な眠気が襲う。
ここ数日間、この事件を小泉と二人で捜査するのは重労働だった。
徹夜を覚悟していたのだが、自分が思うより疲労が溜まっているようだ。
ついウトウトしてしまい……
ハッと気付くと数時間が経過していた。
腕時計は午前2時50分を差している。
焦って双眼鏡を手に、窓から五十嵐の部屋を見た。
リビングには、まだ明かりがついていた。
窓に背をもたれた五十嵐の影もそこにあった。
それを見て、ホッとしかけた横山だが、
直後に“ヤラレタ”と気付き、激しく焦った。
五十嵐がラジオ体操後に窓に背をもたれたのは、0時頃。
それから2時間50分も同姿勢なんて、どう考えても不自然だ。
カーテンに映るあの影は、
ダミー……


