横山はラーメンを啜りながら、動きのないマンションを見て溜息をついた。
張り込みは、横山が一番嫌いな仕事だった。
五十嵐が真犯人で、今夜にでも7件目の放火に動いてくれたらいいのに、と思ってしまう。
そうすれば、現行犯逮捕で事件解決。
横山も張り込みから解放されるのだ。
時刻は0時を回った。
マンション前は人通りが途絶え、静かだ。
何の変化もない五十嵐の部屋。
まだ寝ないようで、リビングの窓には明かりがついていた。
薄いカーテン越しに、五十嵐の影が見える。
窓近くで腕を上げたり下ろしたり、上半身しか見えないが、ラジオ体操のような動きをしていた。
それを見て、横山は苦笑いする。
なんて見張り易い奴なのかと。
まるで、自分はちゃんと家にいますよと、教えてくれるようだ。


