意識のないうららは、
一つ上の階、6階にある“スナック紫陽花”に連れていかれた。
この店が潰れたのは数日前。
まだ片付けている最中で、椅子やテーブルはそのまま残されていた。
店長はうららをソファーに寝かせると、すぐにそこを出る。
「めんどくせぇ…」
そうぼやきながら廊下に出ると、
何かを踏み付け、滑って転びそうになった。
踏み付けた物を手に取る。
それはうららの手から滑り落ちた、桜模様の風呂敷だった。
店長は苛立ちを込めて、
丸めた風呂敷を力一杯壁に投げつけた。
風呂敷は床の上にひしゃげて、沈黙した。
うららは何も気付かず、深い眠りの中にいた。
――――…


