小泉の黒いスーツの裾が、建物の向こうに消えると、
横山は運転席に移り、溜息をついた。
「せっかく室長に出世したというのに、小泉は相変わらず自分で動くなぁ…
それが、いいのか悪いのか…
杉村警部の下にいた時の方が、楽しそうだったよな…」
三年前、杉村がSMRの室長だった時、
横山は小泉の先輩刑事だった。
年齢もSMRに入ったのも、横山の方が古い。
それでも小泉の方が出世が早いのは、キャリアと、ノンキャリアの差だ。
横山は出世欲があまりないので、それを不愉快に思わない。
ただ、先輩刑事として心配していた。
本庁で指揮を取るだけの室長と違い、小泉は何でもかんでも自分で動きたがる。
ここの所、対策室に泊まり込みで、家に帰るのはシャワーと着替えの時だけ。
そのうち壊れてしまうのではないかと、横山は心配していた…
―――――…


