「あなたは、ここの家主ですか?
水島ありささんの住所は、こちらになっていましたが、どういったご関係ですか?」
「僕は…―――」
男は自分について語る。
名前は五十嵐公平、31歳。
一昨年まで会社勤めをしていたが、今は無職。
FXという外国為替投資でかなり儲けているため、高級マンション暮らしができるそうだ。
この家は彼の持ち物。
水島ありさとは、三年前に知り合い一緒に暮らしていたが、
彼女は半年前に突然別れを告げ、出て行ったそうだ。
水島ありさは、かつてここに住んでいて、今はいない。
それを裏付けるものが、部屋のあちこちに見受けられた。
散らかっている部屋の中には、女が使いそうなハンドクリームや制汗スプレーが棚に並んでいる。
それらの上には、うっすら埃がかぶり、最近使われていないことが見て取れた。


