彼女の名前は、水島ありさ。
アルバイトで生計を立てる、23歳の若い女性だ。
半年前、水島ありさが働いていたラーメン屋は、火災で店が潰れたので、
彼女は一件目の事件後すぐに、他の居酒屋で働き始めた。
すると、今度はその居酒屋が放火された。
彼女が働き始めて、約一ヶ月後のことだった。
彼女が他に勤め先を変えると、今度は3週間後にその店が火事になった。
それが繰り返された。
一ヶ月に一回ペースで、
水島ありさの勤め先が放火されている…――
小泉に付いて来いと言われ、横山は車に乗り込んだ。
車は白石区方面に向け、走っていた。
運転中の小泉の横顔に、横山が聞いた。
「真犯人は水島ありさでしょうか?
バイト先が嫌になって、辞めたくなると火をつける。
そういう動機でしょうか?」
「その可能性もあるが、実行犯は別にいる。
防犯カメラに映っていたのは、黒いパーカーを着た男だ」
「そうでした。
6件の火災が起きたビルの防犯カメラには、黒いパーカーの人物が映っていた。
あれは女に見えませんね。
水島ありさが、ゴツイ女なら別でしょうけど」


