水溜まりを避けながら、濡れたアスファルトを歩く。
右手に傘、左手に風呂敷を持ち、気分良く歩いていた。
ボーリング店主に梢のおにぎりを褒められたこと、それが嬉しかった。
うららの左側は片道二車線の車道。
車が水を跳ねながら、勢いよく走り去って行く。
右側前方は、高層マンション。
シックでモダンな建物で、大理石風の大きな塀がマンション入口を隠していた。
木造のおにぎり屋と違う立派な建物を見て、うららは中身はどんな感じなのかと想像していた。
羨ましいわけじゃない、何となく考えてみただけだ。
ぼんやりゆっくり歩いていると、うららの左横を誰かが走り過ぎた。
うららは「あっ!!」と驚きの声を上げる。
左手に持っていた風呂敷包みを盗られたのだ。
中身は貰った黒飴しか入っていないが、配達用の風呂敷を盗られるのは困る。


