「まいどさまです!」
「やぁ、お嬢ちゃん。
雨の中の配達、ご苦労さん」
店主はそう言っておにぎりを受け取り、代金を支払った。
うららが帰ろうとすると、店主に引き止められた。
カウンターに置いてあるカゴの中から飴玉を一つ取り出し、うららにくれた。
「昔懐かしい黒飴だ。
こういうの、若いお嬢ちゃんは食べたことないだろう?」
うららは貰った飴玉を口に入れて、首を横に振った。
「食べたことあるよ。
あのね、うちのばあちゃんが好きで、たまに買ってくる」
店主は「そうかそうか」と頷いて、
「それじゃあ、お土産に持っていきな」
と黒飴を大袋ごとくれた。
うららはお礼を言い受けとった。
空になった風呂敷に黒飴を入れて包んだ。
店主はうららを店の出口まで見送る。
「また配達よろしくな。
お嬢ちゃんの店のおにぎりは評判いいからな」
うららは笑顔で手を振り、元気に雨の中に出て行った。


