小泉が追っている男は、
高須文也、19歳、専門学校生。
うららに尾行を邪魔された時に、逃した男だ。
高須には、覚せい剤取締法違反の容疑がかけられていた。
小泉がなぜそんな捜査をしているかと言うと、頼まれたからだ。
本庁の捜査第4課、麻薬取締部は、
ある筋から、高須文也が覚せい剤を使用しているとの情報を得た。
すぐに4課は任意で取り調べるが、高須の尿からも毛髪からも、覚せい剤陽性反応は出なかった。
自宅も捜索するが、何も出てこない。
情報の出所は、一月前に逮捕した売人だ。
売人は確かに高須に覚せい剤を売ったと証言したが、嘘なのか…?
迷う4課は、SMRに協力を依頼した。
捜査資料を見て、小泉も高須を怪しんだ。
そしてこう考えた。
高須は覚せい剤使用者ではない。
売人から買って、どこかに流している。
彼の背景には、何かあるのかも知れない。
こうなれば、高須が覚醒剤を買い付ける、受け渡し現場を押さえるしかない。
小泉のSMRは、4課に協力し、高須を張り込むことにした。
高須の自宅アパートを張ること二週間、
やっと怪しい行動を見せたのが、先週のことだ。
その時はうららに邪魔されたが、今日こそは…
小泉はそう意気込んでいた。
雨の中を歩く小泉の側に、一台の黒い警察車両が乗りつけた。
運転しているのは彼の部下。
小泉は助手席に乗り込んだ…―――


