杉村は女の前で足を止めた。
「丸山様、聖女アバタリ様をお連れしました」
この女が、丸山陽子、
アバタリの母親だった。
細縁の眼鏡をかけた、痩せた女。
痩せすぎで、うららに似ている点をすぐには見つけられない。
丸山陽子は、薄く笑った。
「亀田さん、ご苦労様でした。
あなたは重要な役目をこなしてくれました。
マハーカラ様は、天からあなたを祝福するでしょう」
杉村は、亀田と呼ばれていた。
本名は明かさず、警察だとも気づかせていない。
亀田という偽りの姿で、三年前から教団と接触していた。
杉村は作り笑顔で頷く。
「これで私も、幹部に上げて貰えますかな?」
丸山陽子は、杉村の顔をじっと見る。
教団に有益な男ではあるが、どこか胡散臭い雰囲気も感じていた。
彼に新生した教団の全てを教えるのは、まだ早いと思っていた。


