それは町の西側にある、廃校になった中学校だった。
人口が減り、西と東の中学校が統合されたのは5年前だ。
財政難を抱える町は、西側の中学校を、土地建物共に売却した。
それを購入したのは、“葛生”という男。
今まで捜査上に上がったことのない名前だ。
解散した教団信者名簿にその名前はなく、
自己啓発セミナー参加者名簿にも載っていない。
だが、怪しかった。
芹沢が調べた結果、アバタリの母“丸山陽子”の叔父に当たる人物だと判明した。
土地建物の名義は葛生だが、事実上の所有者は丸山陽子に違いない。
町の資料では、廃校した校舎は、介護福祉施設にする目的で改築中となっている。
工事が始まってから5年経つが、まだ工事中…
怪し過ぎる建物だ。
それは教団のアジトとして疑うに、最も相応しい場所だった。


