事態は、小泉の予想を上回るスピードで進行していた。
小山内が、鋭い目線を小泉に向けた。
「言え。何が分かった?」
小泉は言うしかなかった。
それは彼にとって、身を切るように辛いことであった。
うららに「信じるな」と言っておきながら、
自分はまだ、心のどこかで杉村を信じていたかった。
小泉は重い口を開く。
「元SMRの杉村警部…いえ、杉村が、桜庭うららを拉致して、教団アジトに向かっていると思われます」
皆が驚いていた。
「まさか…」「嘘だろ…」
「いい加減なことを…」
あちこちから声が飛び、騒然としていた。
小山内が一喝すると、会議室は静まり返る。
皆の注目の中、小山内が低い声で言う。
「狸じじぃがもう一匹いたのかよ…
小泉、先に行け。
GPSに気づかれ外されたら、見失っちまう。
バレないように追跡して、アジトを見つけだせ。
総攻撃は、それからだ」
「了解」
小泉はスーツの裾を翻し、会議室を走り出た。
連れていくのは知本だけ。
知本は二年目の若い刑事。
杉村の下で働いていない、唯一のSMRメンバーだった。


