まだ起きていない事件で、合同捜査本部が設置されるのは初めてのことだった。
それだけ皆、危機感を感じているのだ。
10年前の炎が、刑事達の頭に蘇っていた。
罪のない人々や、警察の同胞を焼殺したあの炎を。
二度とテロを起こさせない。
破壊の光を、早目に潰さねばならない。
そこにいる全員が同じ気持ちでいた。
夜9時半過ぎの大会議室には、総勢150名の刑事が揃っていた。
本部長には、一課の小山内が着く。
「お前やるか?」と言われたが、小泉は断った。
彼は自分が若僧だと自覚している。
年長者の小山内の方が、まとめ役には適していると知っていた。
小泉はただの一捜査員として、アバタリ、桜庭うららに関して説明していた。
それを遮ったのは、またしても芹沢だ。
「ちょっとストップでーす。
小泉室長、おかしいっすよ。
桜庭うららのGPS端末が、移動を始めました。
このスピードは車だと思われます。
こんな遅くに、どこ行くんすかね?」


