おにぎり屋本舗 うらら

 


 ◇◇◇


湯傘が死刑に処された日の、夜8時半。


小泉は肩に雪を積もらせ、SMRに帰って来た。



コートを無造作に椅子の背にかけ、どっかり座り込む。


溜息と共に疲労を吐き出すと、部下の横山が熱い珈琲を出してくれた。



「室長、上手くいきましたか?」



「どうだろう。注意事項に頷いてはいたが…

桜庭うららは、どこか抜けているからな。

俺から貰ったと、うっかり言ってしまう懸念は消せないな…」




小泉は今さっき、おにぎり屋の前でうららと会っていた。


目的は誕生日プレゼントを渡す為ではなく、

彼女にGPS端末を取り付けるためだ。



ネックレスの桜のイミテーション内部には、超小型GPS端末機が埋め込まれている。


彼女の位置情報は、随時SMRのパソコンに送られる仕組みになっていた。



そんな物を付けなけばならない理由は、湯傘の処刑だった。


教祖の死刑執行で、隠れていた信者達が動き出す恐れがある。


教祖亡き今、信仰の対象は娘のアバタリしかいない。



小泉は、いずれ狙われるであろうことを予想して、

うららの首にGPS端末を取り付けたのだ。