報道フロアがざわついた。
画面に映らない場所で、スタッフ達が慌ただしく動き出しているのが、視聴者に伝わっていた。
湯傘に娘がいた情報は、10年間、表に出なかった。
湯傘が死刑に処された今日、ビックニュースが公にされたのだ。
そして…
機密事項とされていた、湯傘の予言めいた言葉と、アバタリの存在が…
信者に伝わってしまったのは、確実だった。
黙ってテレビを見ていたうらら。
彼女の口から言葉がこぼれる。
「アバタリ…」
聞いたことがあると思った。
どこで、いつ聞いたのか…
思い出そうとしたうららの頭が、激しく痛み出した。
テレビ番組は、大スクープとばかりに謎めいた娘の話題に沸いている。
「アバタリ… アバタリ…」
うららは呪文のように呟きながら、頭を押さえて畳に転がった。
度々頭痛を感じることはあったが、こんなに酷いのは初めてだ。
油汗が滲み、吐き気も感じていた。


