紙袋に詰まった物は、茶封筒に入った手紙だった。
フリーライターの男は、獄中の湯傘と約10年に渡り文通していたと言う。
その数、およそ500通。
男は音声を変えて説明を始めた。
『彼はまめな男でした。
手紙を出すと、必ず返事をくれました』
『手紙の内容を教えて頂けますか?』
『ほとんどが、彼の歪んだ思想や理念についてです。
事件を正当化するような言葉ばかりでした』
『事件の具体的計画や、幹部信者についてご質問されたことはないのですか?』
『質問しました。僕が知りたい部分はそこがメインですから。
でも、その返答は黒く塗り潰されていたり、明らかに数ページ丸々カットされている時がありました。
手紙は出す前にチェックが入りますから、彼が書いた言葉が、全て僕に届いた訳ではありません』


