小泉が去り、店じまいも終えて2階に上がる。
梢と二人、遅い夕食を食べはじめた。
うららが煮物の大根を口に入れた時、梢がネックレスに気付いた。
「何付けてんだい?買ったのかい?」
聞かれてうららは、衿元からネックレスを引っ張り出す。
桜のペンダントトップを梢に見せ、誕生日プレゼントに貰ったのだと説明した。
「へぇ、誰から?」
梢が漬物を噛みながら聞く。
小泉だと言いそうになった時、頭の中に彼の低い声で注意事項が流れた。
うららは小泉の言い付けを守った。
「えーと… 名前忘れちゃったけど、お店に良く来るお客さんだよ」
梢は不信に思わなかった。
最近は「元気を貰いに来た」と、うらら目当ての客もいるからだ。
「ちゃんとお礼言ったんだろうね?」
そう言っただけで、梢はその話題を終わらせた。


