キーボードを叩く指の動きは、目で終えないほど速い。
1分後、芹沢は回転椅子をクルリと回して、小泉の方を向いた。
「室長の言う通りっす。
この事件のファイルは二重底になっています。
下に隠された方は、第一級の防護システムが働いていますね。
普通じゃ見られないっす」
「見られるようにしてくれ」
「え〜… 勘弁して下さいよ…
機密文章を無理に見たのがバレたら、ヤバイじゃないすかー」
小泉は立ち上がる。
芹沢の隣に立ち、何かのチケットを渡した。
それは有名ホテルの、ケーキビュッフェご招待券。
どこで手に入れたのか、それを渡しながら言った。
「お前なら大丈夫だ。
天才ハッカーと呼ばれて暗躍した男だろ?
外部からハッキングされたように見せ掛ければ、何の問題もない」
ニヤリと笑う小泉をじっと見て、芹沢もニヤリ笑った。


