「ほーい、こちらサイバーテロ対策室、芹沢でーす」
受話器の向こうで、呑気な声が聞こえた。
「芹沢、今ヒマか?」
「小泉室長っすか。
ヒマならとっくに帰ってますよー。
今一人で居残り残業中でーす。帰りたいでーす」
「残念だが、今日は帰れないな。
その仕事を10分で片付け、SMRに戻ってこい。
お前じゃないと、できない仕事がある」
「10分… そんな横暴な…」
電話を切り15分後、廊下を走る足音が聞こえる。
息を切らせて駆け込んだのは、ラフな格好をした若い刑事だ。
彼の名前は芹沢。
サイバーテロ対策室と、SMRを兼任している。
仕事内容は、パソコンと格闘することで、
現場に出かけることは少なく、本庁に籠もることが多い。
芹沢は疲れた様子で、椅子にどっかり座り込み、愚痴を言う。
「体力ないのに、走っちゃいましたよ〜 疲れた〜」
デニムのポケットから取り出したのは、チョコレート菓子。
エネルギー補給とばかりに、それをムシャムシャ食べ始めた。


