小泉は1時間抜けると言って、SMRを出た。
夜の街は、まだ眠らない。
オフィスビルの窓には明かりが灯り、
雨上がりの車道はヘッドライトを浴びて、濡れたアスファルトが光っていた。
曇り空には、ぼんやりとした半月。
小泉は昼間見たうららの、三日月のホクロを思い出していた。
それから…
うららに構い過ぎる、杉村のことも…
5分歩くと、大将軒というラーメン屋に着いた。
三年前まで、杉村によく連れて来られた店だ。
ここは、味噌ラーメンと餃子が美味しい。
杉村の好物は“札幌味噌ラーメン”だった。
それは、SMRの語源でもある。
札幌味噌ラーメンを略して、SMR。
そのふざけた呼び名を付けたのは、SMRを立ち上げた杉村本人だった。


