おにぎり屋本舗 うらら

 


小泉が突然来店した理由も、それだった。


“なぜ”


うららに関する“なぜ”を解きたかったのだ。



おにぎりを食べたいと思わないが、小泉は出された一つを口に運んだ。



うららは小泉の隣の椅子に座る。


期待の溢れたキラキラした目で、小泉を見つめている。



小泉は一口食べて、

「旨い…」

無意識にそう呟いていた。



うららは大喜びだ。

うららにとって小泉は、ただのお巡りさんではない。

命の恩人だ。


だからこそ、梢のおにぎりの美味しさを伝えたかったのだ。



小泉の食べる様子を隣で見ながら、うららは得意げにおにぎりについて語る。



「うちのおにぎりは、お米にこだわっているんですよ!

蘭越町の前田さん家のお米で、ゆめぴりか、ななつぼしのブレンドなんです!

炊飯器じゃなく釜炊きで…――――」




小泉は相槌など打たないが、それでもうららは嬉しそうに話し続ける。


米のとぎ方、炊き方、

塩加減と握る回数。



興味のない話しを、小泉は黙って聞いていた。

うららを観察しながら。



小泉が全てを平らげ、
うららも、おにぎりについて語り終えた時、

店の電話がリンリンと鳴った。



うららが立とうとすると、梢が言った。


「ばあちゃんが出るよ。
うららは、お茶出してやんなさい」