薄暗い部屋を、温かなオレンジ色の間接照明が照らしていた。


リラクゼーションミュージックが小さく流れている。



絨毯の上には、丸テーブルと一人掛けソファーが二つ。


どっしりとした、大き目のソファーだ。



うららは、いつものソファーに座った。


適度に体が沈む。

母親の腹にいる胎児のような、すっぽり包まれる安心感。


なんて座り心地のよいソファーなのかと、うららは座る度に感じていた。




迎えてくれた50代の医師は、恰幅のよい男性。


ボタンシャツにスラックス。
白衣は着ていない。



いつもはすぐに診察に入るのだが、今日は梢がいる。


医師はうららを待たせて、
梢と二人、準備室と書かれた隣の小部屋に移動した。