その身勝手な嘘が、うららを危険に晒した。
これは後々、厳しく追及しなければならない。
小泉は杉村に当てメールを打つ。
状況を簡潔に伝えてから、どうしようかと考えた。
下のフロアはごうごう燃えている。
鉄筋コンクリートの建物でも、足元から熱が伝わっていた。
すぐに脱出したいところだが、ドアから逃げるのは不可能だ。
有害な煙りが先程よりも量を増して、廊下を埋め尽くしているだろう。
店のドアを開ければ、死が待っている。
小泉は窓を探した。
東向きに窓が一つ。それしかない。
分厚いカーテンを開けると、すぐそこに隣のビルの壁があった。
外にうっすら明るさを感じる。
後半刻ほどで日の出の時間だった。
小泉は窓を開ける。
幸いなことに、この窓から煙りは入ってこなかった。
強い風が東から吹いているお陰で、煙りの侵入を防いでくれていた。


