煙りが白く立ち込める中、上からハンカチのような物が降ってきた。
ふわりと舞うように小泉の足元に落ちたそれは、桜の和模様の風呂敷。
小泉は目を見開く。
うららの配達用の風呂敷だと、すぐに分かったからだ。
小泉がいる場所は、5階と4階の間の、階段の踊り場だ。
上から降ってきたということは、6階以上の階から落ちてきたことになる。
小泉はまさかと思っていた。
行方不明のうららは、このビルにいるのか……
一瞬の気の緩みをつかれてしまった。
五十嵐は小泉を振り切って、階段を駆け降りて行く。
小泉は追わなかった。
いや、追えなかったのだ。
うららがこのビルにいるとなると、事態は非常に深刻だった。
今すぐ見つけないと、火災に巻き込まれ、死んでしまう。


