火災は広がっていた。
炎はガールズバーから這い出し、5階のフロアを侵食し始めた。
火災報知器のベルがけたたましく鳴り響く。
5階を隔離しようと防火扉が作動し始めたが、
廊下や階段に置かれた酒屋の備品が、それを邪魔する。
小泉は渋い顔をした。
五十嵐を確保した後、初期消火に入ろうと考えていたが、もう無理だ。
消火器一本で、消せる炎ではなくなっていた。
漂う煙りが、徐々に濃くなる。
消火を諦め、五十嵐を連れて逃げるしかなかった。
小泉は手錠を取り出した。
「放火の現行犯で逮捕だ」
そう言って、五十嵐の右手に手錠を掛けた時、信じられない物が目に入った。


