廊下のあちこちに、段ボールや酒のラックなど、様々な物が積まれていた。
男は走りながらそれらを全て床に崩し、必死に逃げようとする。
小泉は障害物を飛び越え、踏み付け、男を追う。
そして、ついに階段の前で追いついた。
もみ合いになる中、小泉は男の眼鏡とマスクを剥ぎ取った。
「やはりお前か!五十嵐公平!」
五十嵐は最後の抵抗で無茶苦茶に暴れ、尚も逃げようとしていた。
二人は揉み合ったまま、階段を転げ落ちた。
小泉の額が切れ、血が流れる。
目に入る血を邪魔そうに拭いながら、暴れる五十嵐を取り押さえた。
階段の踊り場の壁に押し付けられた五十嵐は、悔しそうに叫び声を上げていた。
「クソオオッ!」
小泉が冷たい声で言う。
「こんな事をしても、彼女は戻らないぞ。
女に愛して欲しいなら、刑務所で罪を償い、真っ当な人間になることだな」


