「ねーぇ、まーだ?
珠梨、わんちゃん触りたいのー...」

ついに我慢の限界、というように珠梨がしゃがんで拗ねていた。

「...あ、珠梨ちゃんゴメンね!
わんちゃん触って大丈夫だよ」

あいかわらず優しい恵舞はすぐに珠梨の手をとってあげていた。

「...懐かしいなぁ、珠梨ちゃん。
大きくなったね。
私が最後に会ったのはまだ3歳くらいだったかなぁ」

昔を思い出すように恵舞が言う。

「ねぇ、悠。
そうでしょ?」

こっち側に顔を向ける恵舞。

あいかわらず可愛かった。

俺...振られたばっかで何考えてんだ。

「あ、あぁ。
そうだったな」

俺らが別れたのはだいたい6年前くらいだっただろうか...