「ワンワン〜♡」

駆け寄って触ろうとする珠梨。

「珠梨!
ちゃんと飼い主さんに聞かないとダメだろう?」

叫んだ俺に気づいて、慌てて手を引っ込める。

俺も急いで駆け寄る。

「...妹がすいません。
わんちゃん、なでなでしたいって言ってるんですけど...
大丈夫ですか?」

珠梨がいる前ではどうしてもこういう子供向けの言葉遣いになる。

でも俺は、そんなの気にならないくらい次の瞬間思考能力が停止した。

「...恵舞(えま)か?」

振り向いたその人は、俺の幼馴染だった。