男は、マイクに向かってゲットアップスタンドアップをやるとだけ言うと裸足の足をステージに擦りつけるようにしながら足を軽く開く。



短く刈った髪の中に所々白い物が混じっているのが、離れていても分かる。



俺も公一も自然に前の方に移動していた。



男の雰囲気は異様だったし、どうやら楽器はマラカスだけのようだ。



俺達は、珍しい物を見るように興味がわき二人で笑い合う。



ゲットアップスタンドアップは、ボブマーリー&ウェイラーズの名曲だ。



この曲はボブ、バーニー、トッシュ三人が、作ったのかバーニーやトッシュのソロアルバムにも入っていてそれぞれ個性的で俺は好きだったが、それをマラカスだけでやるのなら面白いなとは思った。



しかし、失敗するだろうと思ったし、それでもここでの俺達にとっての最後の曲にはふさわしいかなと思えた。