あたしは山南先生の血まみれの腕を見る。


その顔は苦痛に歪み、かろうじて悲鳴をかみ殺していた。


こんな大混乱の中、適切な治療がしてもらえるだろうか?


不安に思う気持ちを、頭を振って追い出す。


そうしてあたしたちは、残党狩りへと戻った。


翌日まで火事の炎は燃え続け、京の街を灰にした。


長州兵を引っ張ってきた急進派の面々は、土方副長たちが天王山に到着したとき、すで全員自刃していたという。


新撰組にも、京の街や人々にも大きな傷跡を残し、ひとまず戦は集結。


肝心の山南先生の右腕は……。


混乱の中、満足な処置ができなかったせいか、もともとの傷が深すぎたせいか……肘から下が、動かなくなってしまった。


そして、獄舎の屋根で戦っていたくの一と人狼……。


彼らは、何者だったのだろうか。


胸にたくさんのしこりを抱え、あたしたちは屯所に帰ったのだった。