だから急所をひと突きにできず、浪士たちは苦しみながら悶える。


「もう、我慢なりません!」


山南先生は瞬速で刀を抜くと、役人の槍の柄を斬ろうとする。


「山南さん、ダメだ!」


総司が脇差しを抜きながら叫んだときには、既に遅かった。


まるで狙ったかのように、目をつむったままの他の役人の槍が、山南先生の腕に突き刺さった。


「ああぁぁー……っ!」


さすがの山南先生も、悲鳴を上げて剣を取り落とす。


「山南先生!」


あたしはすぐに、彼の腕を止血しだす。


「去れ、新撰組!この無礼は不問にしてやる。

だから頼む。もう行ってくれ……」


「なっ……不問にしてやるってなんだよ!

ひどすぎるよっ、剣客の腕を刺すなんて……」


「楓、やめろ!山南さんの治療が先だ!」


沖田も悔しいのか、奥歯をギリギリかみしめながら、山南先生を支えてその場を去った。


「総司……あたしの血、怪我には効かないの。早く医者を探して」


「無論だ。お前は一番隊と合流し、土方さんに伝令を頼む。

山南さんを医者に見せたら、すぐそっちに行く」