「そういえば総司、お前、体調はどうなんだ?
池田屋以来、咳は止まったみたいだが」


副長の質問に、あたしたちはどきりとする。


あたしの血が万病に効く薬になるってことは、まだ総司しか知らない。


「えっと……大丈夫です。
すぐにでも出動できます」


「それは助かる。

しかしなぜ、急に体調が回復したんだ?

あれだけ大騒ぎしといて」


「さ、さあ……俺にも、さっぱり……」


「ほう……」


副長の鋭い目線が、冷汗だくだくのあたしたちに降り注ぐ。


下手に話して、病人が出るたびに血を求められたらたまったもんじゃない。


だけどこの副長相手に、いったいいつまで隠し通せるのか……。


「まあ、いいか。今は戦のことが先だ。

落ち着いたら、話してもらう」


副長は意外にあっさり話を切り上げた。


そして、彼の読み通り……。


その日の夜、帰ってきた局長から、出動命令が出たのである。


長州軍を迎え撃つため、新撰組は九条河原に陣を張ることになった。


……のだけど。