「行け、楓!」


総司は向かってきた敵を振り向きざまに斬り倒しながら言う。


「俺なら大丈夫だ。
あとで御所で合流しよう」


「うん……!」


あたしはたすき掛けをしてむきだしになっている総司のたくましい腕に、一瞬ぎゅっと抱きついた。


死なないで。


言葉に出さなくても、お互いの思いは通いあっている。


総司は軽く、あたしの肩をたたく。


それを合図に、あたしは総司に背を向け、屯所へと全力で駆けだした。