「藤堂……」


斉藤先生は泣きはしなかったけど、明らかに衝撃を受けた様子で、立ち尽くしていた。


「平助くん……」


絶対に助けると誓ったのに。

どうしてあたしは、こんなに無力なんだろう。


力の入らない膝でなんとか立ち上がり、気を失っている総司の元に寄る。


すると、永倉先生がぽんとあたしの肩を叩いた。


「あ、あいつは、そのうち、すぐ帰ってくるさ。
ははは、楽しみにしててやろうぜ。どんなマヌケなもののけになって帰ってくるか」


彼はぼろぼろと涙を流しながら、無理やりに笑って言う。


「ありがとな、楓。
お前があいつを呼んでくれなきゃ、平助はここで終わりだったかもしれない」


原田先生まで優しい声をかけてくれるから、途端に涙が溢れだす。


「でも、本当に同化できるかはわからないって……」

「馬鹿!できるに決まってんだろ!」


永倉先生が怒鳴る。


「俺たちは平助を信じてようぜ。信じることしかできないけれど……」


原田先生は、その長い腕で永倉先生とあたしの肩を、同時に抱いてくれた。


「はい」


信じること以外、何もできないけれど。


平助くん……絶対に帰ってきてね。


みんなで、いつまでも待っているから。




絶望なんて。


あたしたちが希望を失わなければ、そんなもの。


どこにも、ないんだから。