『承知した』


銀月さんはそう言うと、斉藤先生とあたしに、霊力を流し込むのをやめるようにいった。


そっと手を離すと、途端に平助くんの体から、生気が失われていく。


「みんな……また、会おうね……」


最後に笑った平助くんは、ゆっくりとまぶたを閉じた。


「平助くん……!!」


今、肉体の寿命が尽きた。

そう悟った途端、ぼろぼろと涙が溢れだす。


「平助っ!」

「馬鹿野郎……!」


こちらを見守っていた永倉先生と原田先生が、涙を流しながら叫んだ。


『魂を分離します』


銀月さんは冷静に言うと、鼻先を平助くんの頭に近づける。


すると、彼の胸から、まぶしく光る球体が肉体の壁を通り抜け、現れた。


ああ……なんて温かい光なんだろう。

まるで、平助くんそのものみたい。


光は徐々に収束し、小さな数珠くらいの大きさになった。


まるで水晶でできたようなそれの中に、まぶしい光が閉じ込められている。


『では、私は早速、体を探しに行って参ります。
楓様、総司様をよろしくお願いいたします』


上様の警護は他のもののけたちに頼んでくれる旨を言い残し、銀月さんはふっと闇夜に姿を消した。


油小路には、敵の遺体と、抜け殻となった平助くんの体が残された。