「あたしの力も使って、平助くん……」
ぎゅっと平助くんの手をにぎり、自分のわずかな霊力を彼に預けるように集中する。
そうだ、あたしは陽炎のときも山南先生のときも、諦めてしまった。
目の前で命が消えていくのに何もしないなんて、もうできない。
「……絶対、許さねえ……」
獣が唸るような低い声が聞こえ、思わずそちらを見る。
すると、総司の背が曲り、体中がみしみしと軋んでいた。
「狼化しちゃダメっ、総司!」
また体に負担がかかっちゃう。
けれどあたしの言葉なんかに耳を貸さず、総司は思い切り月を仰ぎ、絶叫した。
「うがああああっ!」
耳と尻尾、牙に爪が一瞬にして現れる。
「総司!」
あっという間に狼化した総司は、まだ燃えながらも息がある敵に、見たこともない速さで突っ込んでいく。
「うがうっ!」
燃え続ける炎をものともせず、総司は倒れていた敵に飛び乗り、その頭に強烈な頭突きを食らわせた。
にぶい音と共に頭を離すと、間髪入れずに爪をその顔を殴るように叩き込む。
何度も、何度も。
焼け焦げた頭は元の形がわからないほどにへこみ、赤黒い血液が吹き出す。



