幕末オオカミ 第二部 京都血風編



「避けろ!」


総司の声とともに、みんながそこから飛び退く。

けれど、一人だけ足が止まってしまった人物がいた。


「つ……っ」


平助くんだ。


彼が傷ついた肩を押さえ、ゆっくりと敵の方を振り向いた刹那。

どす、と鈍い音がした。

敵の尾が、彼の腹を貫く。


「平助くんっ!!」


全てが瞬きほどの一瞬のことだった。


彼の援護に間に合わなかった仲間の顔色が変わる。


「この野郎!」


駆け寄ってきた皆の剣が、敵の尾をバラバラに切断する。


その間に、平助くんはどっと冷たい地面に倒れ込んでしまった。


「平助くん、平助くん!」


駆け寄り、すぐそばにひざまづく。


「……ぇ、で……」


平助くんの腹に刺さった尾は、本体から切り離され、ぶしゅうと濃い紫色の霧になり、消えていった。


平助くんのお腹には大きな穴が空いていて、そこから次々に溢れた赤が、彼の袴を、地面を濡らしていく。


どうしよう。こんなにひどい怪我じゃ、止血もできない……。