「く……っ」
思い切り刀を振り下ろした平助くんが、斬られた肩を押さえて後退する。
二人の敵は、全身に何か所も傷を負っているけれど、まだ倒れなさそうだ。
「斉藤に藤堂、裏切ったか」
敵の一人が、二人を見てうなる。
「何言ってんだよ!そっちだって、俺を利用するだけのつもりだったくせに!」
「うるさい!衰退していく幕府にいつまでもすがりつく、哀れな新撰組よ。
我らが引導を渡してやろう」
そう言うと、敵二人は並んで裂けた口を開く。
「総司、あれは……!」
案の定、二人は伊東がしたのと同じように、紫色の霧を吐き出した。
「あれを吸ってはダメだ!」
総司が言うと、斉藤先生がみんなの前に出る。
懐から護符を取り出し真言を唱えると、噴射された霧が、あたしたちの周りだけを避けるようにして、夜空に広がった。
「おのれっ」
毒霧攻撃が効かないと悟った敵は、のたうつ尾を使い、素早くこちらに近づいてきた。
総司と斉藤先生も刀を抜き、敵の攻撃にそなえる。
あたしも苦無を取りだした。



