幕末オオカミ 第二部 京都血風編



「く……っ」


思い切り刀を振り下ろした平助くんが、斬られた肩を押さえて後退する。


二人の敵は、全身に何か所も傷を負っているけれど、まだ倒れなさそうだ。


「斉藤に藤堂、裏切ったか」


敵の一人が、二人を見てうなる。


「何言ってんだよ!そっちだって、俺を利用するだけのつもりだったくせに!」


「うるさい!衰退していく幕府にいつまでもすがりつく、哀れな新撰組よ。
我らが引導を渡してやろう」


そう言うと、敵二人は並んで裂けた口を開く。


「総司、あれは……!」


案の定、二人は伊東がしたのと同じように、紫色の霧を吐き出した。


「あれを吸ってはダメだ!」


総司が言うと、斉藤先生がみんなの前に出る。


懐から護符を取り出し真言を唱えると、噴射された霧が、あたしたちの周りだけを避けるようにして、夜空に広がった。


「おのれっ」


毒霧攻撃が効かないと悟った敵は、のたうつ尾を使い、素早くこちらに近づいてきた。


総司と斉藤先生も刀を抜き、敵の攻撃にそなえる。


あたしも苦無を取りだした。