「待ってよ、一。俺も、行く……」
「何言ってるの平助くん。無理しないで」
こうしている間にも平助くんの肩がますます赤く染まっていく。
それなのに彼は、笑って言った。
「無理だよ。仲間が戦ってるのに、自分だけ逃げるなんて、絶対ムリ」
そうして、片手で握り続けていた刀にぎり、と力を込める。
「しんぱっつぁんも、左之さんも……裏切り者の俺を、ただ騙されていたバカな俺を助けて、逃がそうとしてくれたんだろ?」
「裏切り者だなんて」
誰も、平助くんのことをそんなふうに思ったことなかったよ。
「どうせ、新撰組には戻れないんだ。
武士としての最後の花道、ここで飾ってやらなきゃ!」
平助くんはそう言うと、総司と斉藤先生を振り払い、油小路へ駆け戻っていく。
「平助くん……っ!!」
「馬鹿野郎、無理したら死んじまうぞ!」
総司の言う通りだ。平助くんの傷は決して浅くない。
山南先生が亡くなって、みんながどれだけ悲しんだか、平助くんは知っているはずでしょう?
それなのにどうして、同じように武士としての誇りのために、命を投げ出すようなことをするの?
あたしと総司、斉藤先生は急いで平助くんのあとを追い、油小路に向かった。
絶対に誰も、死なせたりしないんだから……!



