「平助くん、平助くん……!」
肩を斬られた平助くんは額に脂汗をかき、総司の腕に抱えられたまま、座って動けなくなってしまった。
苦痛にゆがむ口元が、ゆっくりと言葉をつむぐ。
「総司、楓……これ、いったいどういうこと?」
「伊東が近藤先生と土方さんの暗殺をたくらんでいやがったんだよ」
総司は説明するあいだに、あたしは懐から取り出した手ぬぐいで平助くんの傷口を縛る。
「嘘だろ」
「しかもあいつも、もののけに魂を売ってやがった。
たぶん、槐が山南さんにした方法で、もののけと同化したんだろう」
「そんな……俺、何も知らなかった……」
平助くんは悔しそうに声をしぼり出すと、苦痛に顔を歪めた。
「なんでそんなことが、わかったんだよ……」
「藤堂、無駄口をたたいていないで、早く逃げろ」
「うわっ!」
驚いて思わず大声を出したあたしの口を、総司が慌てて塞いだ。
突然暗闇の中から現れたのは、斉藤先生だった。
「そういうことか……突然いなくなったからおかしいと思ってたんだよなあ……」
平助くんがため息をつく。
どうやら、斉藤先生が新撰組の間者として伊東の周りの調査をしていたということを察したみたい。



